++ GLASS FOREST
はじめに -
DFFのバッツ受小話中心。
85、105、75、95あたりが多いかと。
時にアダルトな描写もございますのでご了承の上お読み下さい。

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2009/07/11
約束(85←9)
バッツが好きすぎるスコールとジタン。バッツを泣かせたくて書きました。
少しずつ意識が覚醒する。
身体中痛みがひどくて動かすことは諦めた。

瞼を開くと目の前の光景に驚いた。
あのバッツが目を真っ赤にして、スコールの手を握っている。頬に涙が伝った跡まである。

そこまで確認して、自分がバッツを泣かせてしまった事に気がついた。

「バッツ!スコールが目を開けたぞ。ほら!」
スコールのことよりも、むしろバッツの心配をしているのではないかと思わせるジタンの声。

驚きで見開いたバッツの瞳から、またポロリと一滴零れる。
バッツは喜怒哀楽が豊かなので泣く時もさぞ激しいだろうと思っていたが、それは勘違いだったようだ。あんなに静かに涙を流すとは。

「・・・・バッツ。あんたは無事だったか」
「そりゃあスコールが身体張っておれのこと庇ってくれたから・・・」
「あんたが無事なら、それでいい」

スコールがそう呟いた瞬間、バッツの瞳から先程とは打って変わって大量の涙が流れ落ちた。嗚咽を抑えることができず、泣きじゃくるバッツ。

ああ、やっとバッツらしい泣き方になった、と思った瞬間。ジタンが横目でスコールを睨む姿が目に入った。手はバッツの背中を摩っていたけれど。

「もっ・・・、あんな庇い方すんな、よッ ヒクッ・・おれ、スコールが死んじゃったらどうしようかって・・」

そう言われても、スコールはまた同じことを繰り返す自信がある。バッツのことになるとスコール自身セーブがきかなくなるのだ。そしてそんな自分の行為を後悔することもない。もう重症だ。

とりあえず少しでもバッツが安心するよう、握られていた掌を弱い力で握り返した。指先を動かすことすら気だるいけれど、バッツの温もりを感じて心から安堵する。また、彼を守ることができた。

バッツももう我慢の限界だったのだろう、泣き濡れた頬を近づけて頬擦りしてきた。
「スコール、スコール」

柔らかい髪の毛の中に指を差し入れ優しく梳くと、更にバッツが縋り付いてくる。

「バッツの大泣き声が聞こえてきたと思ったら・・やっぱりスコールが目を覚ましたんだね」

セシルが天幕を持ち上げ、中の様子を覗き見る。

「ああ・・迷惑をかけた」
「お互い様だよ。身体の方はどう?」
「痛みはあるが、問題はない」
「そう?無理しないでね。」

セシルはスコールを気遣った後、目線をくるりとバッツの方に向けた。
「バッツ。スコールが目を覚ましたんだから今度こそご飯を食べてもらうよ。」
「そうだぜ、引きずり出してでも飯食わせるぞ!」
ジタンもそれに賛同する。スコールの意識が無い間、バッツは皆が止めるのを振り切ってスコールの傍から離れなかったようだ。

「・・もう少しここにいる」
「よしセシル、無理やり引きずってって。バッツ、オレと交代だ。オレはもう飯食べてきたから、しばらくスコールのこと見ててやる」
「いやだ・・おれも居る」

ジタンの提案に首をブンブンと横にふるバッツ。そんなバッツの様子に愛しさを感じると同時に、ただでさえ細い彼の身体のことも心配になる。

「バッツ、オレは平気だから・・行って来い」
「おれも平気!」
「バッツ、怪我人にまで心配させる気か〜?」

ニヤリと笑うジタンにバッツが声を詰まらせる。
その隙にそのままセシルに引きずられ、「スコール〜」という無念そうな声と共に姿を消した。

「さて、と」

今度はジタンが、バッツの居た位置に移動して、どかりと胡坐をかいた。
「スコール、本当に大丈夫か。無理してないか」
「ああ」
「つうか、無理しすぎだよ」
「ああ・・」
「オレら、約束したよな」

言われると思った。ジタンと誓った、あの約束のことを。

「バッツのこと、泣かすなって」

スコールとバッツが恋仲になった時、バッツの親友であったジタンに条件を出された。バッツを泣かすのだけは許さない、と。バッツのことを溺愛するジタンらしい条件だと思ったが、スコールももちろん同意した。

「やはり、こういう場合も有効か・・」
「当たり前だ。余計タチわるいよ。怒ることもできない」
「すまない。だが、またオレは繰り返す」
「本当タチ悪いな。あんな泣き方するバッツ・・・オレの心臓がキュウってなる。さっきみたいに泣きじゃくってくれた方がまだいいや」

ポロリ、ポロリと伏し目がちな瞳から雫をこぼすバッツ。
ただ静かに、雫を落としている。
その姿はとても悲しく、とても美しかった。


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一応ジタンは友情設定のつもりでしたが、なんか片思いぽくなりましたね。
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