++ GLASS FOREST
はじめに -
DFFのバッツ受小話中心。
85、105、75、95あたりが多いかと。
時にアダルトな描写もございますのでご了承の上お読み下さい。

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2009/07/23
愛の血管(8←5)
乙女バッツ。漫画版は こちら をどうぞ。


「バッツ、手を出せ」
「はひ?」

訳のわからないままスコールに左手を差し出す。

「これはお前が装備しておけ。」
「あ、ガードリング・・・」

スコールは受け取ろうとしたバッツの腕を掴み、そのまま優しい手つきでバッツの指に指輪を通していく。

バッツは内心激しく動揺していた。

(ひ、左手・・・くすりゆび!)

左手薬指に指輪を嵌める慣習は土地によって意味が違う。
例えばバッツは幼い頃、親にこう教わっていた。
左手の薬指の血管は心臓にまっすぐに繋がっていて、それを愛の血管と呼び、この指に「終わりのない」リングをつけることが永遠の愛を意味すると。

スコールに他意はないだろう。いや、ないに決まっている。

(勝手に独りでおれが喜んでいるんだ)

もう自分の気持ちにはとっくに気付いている。スコールに恋しているからいつもスコールに目が行くし大事なお守りだって預けてしまう。スコールに他意がなくて指輪を左手薬指に簡単にツルンと嵌められてしまっても、こんなに胸が締め付けられるほど苦しい、嬉しい。

スコールが去った後、ひたすら左手薬指を眺め続けて笑みを浮かべた。

(この世界のモノはおれの世界に持っていけるのかな?)

(ボコの羽だってこっちに持ってこれたんだしな)

(今度こっそりコスモスに聞いてみよう)

スコールに恋した証しがほしいのだ。
なんとなくだが、自分の世界に戻った時はここでの記憶は消えてしまうだろうとバッツは予感していた。そしてその予感はきっと当たっている。

スコールに想いを伝えるつもりはない。

けれど、記憶をなくしてしまっても、全てを忘れてしまっても、バッツの左手薬指の血管にはスコールへの思いが流れ続けてほしい。

「おいバッツ、指がどうかしたのか?怪我したか?」
「ヒッ!?」

慌てて振り返るとジタンが居た。怪訝そうな、心配そうな半々の表情でバッツを眺めている。

「え、えっと・・ゆ、指に・・水虫ができた」
「おまえ・・それは結構大変な事態なんじゃないか」



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当然スコールに他意はあります。
スコールの所では片思いの相手に想いが通じるようにというおまじない的な意味もあるに違いない。
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