++ GLASS FOREST
はじめに -
DFFのバッツ受小話中心。
85、105、75、95あたりが多いかと。
時にアダルトな描写もございますのでご了承の上お読み下さい。

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2010/01/27
Instant Family 2(10親子×5)
※現代設定
※ティーダ一人称
※10親子×バッツというマイナーすぎる設定です。
※今回はティーダ×バッツがメイン
「久しぶりじゃないか、おまえがここに来るの」
「そッスか?」

ワンルームの狭い部屋の中、フリオニールが笑顔で迎え入れてくれた。

「まあオレはテスト期間だったからちょうど良かったが」
「へいへい、いつも大学生の勉強邪魔してスイマセンー」

フリオは悪態をつきながらも、なんだかんだで面倒見の良いイイ奴だ。
だからなんか悩むと、すぐにフリオに会いたくなる。
そういえば前は毎日のようにフリオの所に転がり込んでだな・・
バッツがうちに来る前までは。

「で?また父親と喧嘩したのか?相変わらずだな」
「ちがうッス・・」

頬を膨らませ、口を閉ざすオレ。ガキくさいと分かっているのに抑えられない。まあ今更フリオの前で畏まる必要もないしな。

そもそも、オレだって分かってないのだ。
こう、モヤモヤとしたイヤーな気持ちになってしまう、その理由が。

「なんかいつもと様子が違うな」
「いつものオレってどんなん?」
「ドア開けるなりギャーギャーと父親の文句を」
「言ってねーよ!!」

笑うフリオを尻目に、オレは自分の気持ちを整理する。

なんでこんなにイライラしてるか?
そりゃあしょっちゅう留守してた親父が頻繁に戻ってくるようになったからだ。
いや、親父が戻ってきて喧嘩になってもイライラなんて、今まではなかった。

なんで親父がしょっちゅう戻ってくるようになったのか。
それはバッツが居るからだ。
バッツが親父の帰りを心待ちにしているからだ。

バッツの飯は美味い。
だからオレも親父も大喜びだ。

・・違う、そうじゃなくて。

順を追って考えていくと、一つの結論に達するのだ。

バッツは毎晩、親父の部屋で寝てる。
親父がいない時はまだいいが、あんなガタイのいい親父がギリギリおさまるシングルベットで、一緒に寝ている・・のだろうか。普通だったら考えられない。
だが、バッツがうちに来た理由はなんだったか。オレは冗談だと思っているが、親父の嫁とか・・かなりタチの悪い冗談だ。冗談だが。

・・仮に、冗談じゃなかったとしたら。

「ぐわわわああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「ど、どうしたティーダ!なんかあったのか!?」

一瞬でも、その・・想像してしまった寝室を。頭から消したいー!!
いきなり狂ったように叫んだオレを宥めるフリオに、本当申し訳なく思った。

「とにかく眠いから寝かせてくれッス」
フリオの布団を借りて、即効毛布にくるまるオレ。
ここなら久しぶりに安眠できそうだ。
興奮してしまった脳内を抑えつつ、やっと眠りの世界に・・



深い眠りの底にいたはずが、人の気配を感じる・・
ん?
フリオが誰かと話してる?
・・・客でも来たのか・・・

「あの、ティーダここにいますか!?」
「いるけれど・・あの、失礼ですが、貴方は?」
「あ、オレ、えーと・・」

聞き覚えのある声だ。
あー、そうだ、いつもオレを起こしてくれる声・・そうそう、バ・・

「バッツぅ!?」

声の正体に気付いたオレは、寝起きの脳内が一気に覚醒し、勢いよく起き上がる。
ワンルームの狭い部屋、当然オレの身体は隠しようもなく。玄関に居たバッツと目があってしまった。

「ティーダぁ!!」

あぜんとしたフリオの横をすり抜けて、バッツがオレ一直線に駆け寄ってきて飛びつかれた。

「わわ、ちょっ・・」
「馬鹿ティーダ、なんで夜中に急にいなくなるんだよ!」
「・・・・・」

どうやらオレのこと心配して探してくれてたらしい。
ついつい、オレにしがみつくバッツの背中に手を回して、ギュッと抱きしめた。そういやこんなに密着するのは初めてかもしれない。

「・・・なんで、ここが分かったッスか?」
「ジェクトさんが、ここにいるに違いないって」

あんのクソ親父ぃ。
親父の余裕の笑みが頭に浮かび、正直腹がたつ。
つうか夜道をバッツ独りで歩いてくる方が危ないだろ。
いや、バッツはオレより年上の成人だし男だし親父と会う前は独りで海外を渡り歩いてたくらいだから場慣れしてるんだろうが、だがしかし・・やっぱり・・危ねえよ。

と、フリオが困った顔で「このお方はどなたですか」というオーラを出している!

「フリオ、この人はバッツといって、えーと、オレの家の・・」
「居候です」

バッツがキッパリとそう応えたことに、オレは驚いた。
いっつも親父の嫁とかオレの母親とか言ってオレんちの家族でいたがってたくせに。
だからオレも、どう紹介するか戸惑ったのに。

「居候・・なんですか?」
「そう、ジェクトさんと旅先で知り合って、そのまま家に転がりこんじゃったんだ。というわけでどうぞよろしく。今日はお騒がせしてスイマセン」

バッツの屈託無い笑顔に、フリオも納得できたのか笑顔で応じる。

「ティーダの親父さんなら、何があっても不思議じゃないから・・しばらくはティーダの家に?」
「うん。あ、敬語じゃなくていいから」
「わかった。どうぞよろしく」

仲良さそうに話すフリオとバッツを尻目に、だんだん居心地が悪くなるオレ。もしかしてオレは家に強制送還か?

「さ、ティーダ帰るぞ!」
手を差し出してきたバッツに、顔を背けてしまう。
「・・・オレ、ここにいる」
「じゃあおれもここにいる」

もう二人でフリオの所に泊まろうか、とも思ったがワンルームに布団一つ・・何よりバッツが目の前とかにいたら、オレが気になって眠れない。
渋々帰ることにしたオレを、フリオが苦笑いで送り出してくれた。

夜道をオレとバッツ、二人きり。
ここらへんは住宅街で、近くにコンビニもないから真夜中だと人気が全然無くとても静かだ。

「・・・バッツ」
「なんだ?」
「何故手を繋ぐッスか」
「繋いどかないとティーダどっかいっちゃいそうだから」
「・・・17歳の思春期なんスよ、ほっといてほしいッス」
「そりゃあ、おれもその時期は色々あったけど。でも、・・ごめん。おれがティーダと一緒にいたかったの」

・・・ズルイ。
そんなこと言われちゃあ、もう文句言えないじゃないか。

「さっきさあ、なんで居候って言ったッスか?」
「んー、えーと・・」
「家族になりたいとか言ってたのに。居候でいいのかよ?」
「・・・・・ティーダの家出の原因、そのせいじゃ」
「ねえよ!」

即効で否定したオレに驚き顔のバッツだったが、すぐに満面の笑顔に変わった。
・・かわいいじゃねーか。

「変な勘違い、するんじゃないッス」
「へへへ、ティーダ大好きー」

確かにオレの家出の原因はバッツも絡んでいるが、バッツがうちにいることは大歓迎なのだ。
本当の原因は・・言えるはずもない。

じゃれるように右腕に抱きついてくるバッツ。
ああ、本当かわいいなあ。
オレもバッツが大好きだ。

自分が嫉妬してたのなんて、とっくに気づいてた。

オレの嫁になってくれる?

とか言ったら。バッツはどんな顔をするだろうか。
親父がライバルとか、マジでごめんだけど。
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